日本の一般的なバネのついた入れ歯は硬いものを噛むと歯肉の一部に強い力が集中するので痛みの不安で強く噛むことが出来ません。また、入れ歯を支えている歯に対する負担も大きいので脳が歯を守るために無意識に力を弱めてしまい、硬いものが噛めません。その点“ドイツ式テレスコープ義歯”は歯に対する負担が少ないのでしっかりとおいしく噛むことが出来ます。
入れ歯がぐらぐらすると、歯肉の一部に力が集中して歯肉に痛みが出やすくなります。また、入れ歯が浮くと入れ歯と歯肉の間に食べ物が入り、歯肉に当たって痛みが出ることもあります。
“ドイツ式テレスコープ義歯”はぐらぐら動きにくいので義歯が当たって痛いことはほとんどありません。
日本の一般的なバネのついた入れ歯は入れ歯を支えるのにバネを使っています。このバネは弾力がありますので歯のない部分で食べ物を噛むと、入れ歯がぐらぐらと動いてしまいます。
“ドイツ式テレスコープ義歯”はなぜ歯がぐらぐらしないのかの理論は、私が学会に論文発表しています。
日本の一般的な入れ歯は金属のバネが付いていて、それが見えると他人からは明らかに入れ歯を入れていることがわかってしまいます。“ドイツ式テレスコープ義歯”はバネがありません。バネで支える代わりに歯に白い冠をかぶせることで義歯をしっかりと支えます。
“ドイツ式テレスコープ義歯”の良いところは、将来歯が悪くなっても、修理や増設が出来ることです。修理の際には義歯を使いながら歯を抜くことが可能です。
太田歯科医院では歯の物理的な力に専門的に取り組んでいますので他の歯を守る構造を壊さずに、悪くなった歯を抜く方法を開発しました。
装着後に歯が悪くなってしまった場合、通常はせっかくの歯を守れる構造を切断してしまっていますが、構造を切断しないで悪くなった歯を抜歯する方法を私が考案し平成14年に学会に論文発表しました。
歯周病で骨が痩せてしまってぐらぐらになった歯も太田歯科医院ではぎりぎりまで抜かずに残して、義歯の支えとして使います。“ドイツ式テレスコープ義歯”以外ではまず抜歯しなければならない歯も太田歯科医院では残します。ぐらぐらの歯は、1本単独で揺すられれば痛みが出たり、歯茎がはれたりします。ですから普通は抜いてしまいます。ところがドイツ式義歯の場合は他の歯と連結してしまいますので歯が揺れることを止めることが出来ます。そのうえで太田歯科医院で行っている特別な歯周病不良組織の改善治療を行えば驚くほど、歯周病は改善されます。そうなってしまえば、ほんの少ししかない骨も、上からまっすぐかかる力を支えるだけなら他の歯とともに役立ってくれます。
太田歯科医院では平成9年からこのような方針で一般的には抜かれてしまっている歯を抜かずに残してきました。そして現在までかなりの長い期間、多くの歯が抜かずに残せています。
日本の一般的なバネのついた入れ歯は歯を抜いてしまった部分を支えるために通常2本から3本の歯にバネをかけます。歯にかかる負担を減らすためにバネの本数を増やせば良いのですが見た目に目立ってしまいますので、本数は限られてきます。その歯が弱っていた場合、少ない本数では入れ歯を支える力を支えきれずに短期間のうちにバネをかけた歯が力に耐えきれずにぐらぐらになってしまいます。
その点“ドイツ式テレスコープ義歯”は歯に白い冠をかぶせる構造ですので、支えにする歯を何本でも増やすことが出来ます。噛む力を2本の歯で支えるのと4本の歯で支えるのではかかる力は半分で済みますから、歯を守ることが出来るのです。